柚木沙弥郎 永遠のいま
先日、帰省ついでですが島根県立美術館で開催されていた、「柚木沙弥郎 永遠のいま」の展示を観てきました。
柚木沙弥郎(ゆのき さみろう) 1922-2024 は、2024年に101歳の生涯を閉じた東京出身の染色家です。
戦後、柳宗悦(やなぎ むねよし) らが提唱した民藝思想に触れ、芹沢銈介のもとで染色家としての道を歩み、色彩豊かで、のびのびと自由で大胆、ときにユーモラスな染色作品を数多く生み出されました。その創作世界は版画やコラージュ、絵本、立体作品などの分野に広がっています。
今回の展示は、島根をはじめとして、ゆかりの深い国内外の各都市をテーマにした特別展示も行われました。
2014年型染め作品の展示会を皮切りに、ピカソやマティスも通っていたバリの老舗リトグラフ工房 「idem Paris」でのオリジナルリトグラフ制作や、国内外のクリエイターとの共作まで、多種多様な視点でアートのある暮らしを提案してきました。
取り組みは更にひろがり、より多くの方々に日々の生活を楽しんでもらうことをコンセプトに、手ぬぐいや浴衣などのブロダクトも手掛けてきました。
柚木氏のものづくりは、常にこれからの暮らしについて考え、現代のライフスタイルにも馴染み、モダンでありながら楽しく、使うほどに愛着が増す、生活に寄り添うものづくりを目指していました。
展示では、100歳を超えてなお人生を愛し、楽しんだ、柚木沙弥郎の75年にわたる創作活動の全貌が堪能できます。
展示作品の撮影は一部しかできませんでしたが、柚木氏の溢れるセンス、人柄が伝わり楽しくなる作品の数々に圧倒されっぱなしでした。
是非ご覧になっていただきたいアーティストの一人です。
島根県立美術館での展示は6月16日(月)までです。
水都松江のシンボルをのぞむ好地にたたずみ、「水と調和する美術館」「夕日につつまれる美術館」として、二十数年にわたり県内外から親しまれてきました。
2020年に大規模改修を経て自然と調和した美しい美術館として再スタートされ、訪れてみたい思っていた美術館でした。
夕日は見れませんでしたが、美しい宍道湖の風景につつまれ、時間を忘れてゆっくりアートを鑑賞できる豊かな時間を体感できます。常設展示も豊富ですし、併設のレストランもとても美味しかったです。
旅の一つの楽しみとして、美術館を堪能することをお勧めしたいです。
《島根県立美術館》(1998年竣工) 菊竹清訓建築設計事務所