白の余韻

現在開催中のPOPUPにて、山家漆器店の「SHIKI‑ORIORI(しきおりおり)」シリーズを期間限定で販売しています。
「SHIKI‑ORIORI」は、紀州漆器の伝統技法をもとに、現代の暮らしに寄り添うかたちで生まれた、あたらしい表現の漆器シリーズです。
朱と黒で構成される従来の「根来塗り」の考え方をもとに、白一色で塗りの美しさを追求しています。
白の中にわずかな濃淡や陰影を重ね、使うほどに奥行きと味わいが増していくデザインで、この白の表情は、「紀州蒔地」と呼ばれる伝統的な技法。
砕いた土や炭の粉を混ぜて下地をつくり、何層にも塗り重ねた後、時間をかけて丁寧に磨き上げることで、まるで地層のような質感とやわらかな手ざわりで、仕上げにはウレタン塗装を用いながらも、漆器本来の深みを感じられるように工夫されています。
ラインナップは「ゆきはだ」「さざなみ」の2種類。

「ゆきはだ」は、名前の通り、雪の肌のように繊細な粉雪状の質感が広がる仕上がり。
純白に近い色合いの中に、わずかに赤みを帯びた層がほのかに透けて見えます。
中央から円を描くように研ぎ出された表情が、やわらかな陰影を生み出し、清らかでありながら、どこか温もりを感じる優しい存在です。

「さざなみ」は、音のない波のように、刷毛目の重なりが器の表面をさりげなく彩ります。
何層にも塗り重ねた塗装に動きのある刷毛跡を加え、見る角度によって異なる表情を楽しめるのが魅力。
淡い青みと灰みを帯びた「薄鼠(うすねず)」の白が、凛とした涼やかさを感じさせます。
また、見た目の美しさだけでなく、使いやすさにも配慮されており、重ねてもすっきりと収納できるようにデザインされています。
指が自然にかかるよう設計された段差も、使う人へのやさしさが感じられるポイントです。
「SHIKI‑ORIORI」は、日本の四季のうつろいを感じさせる美しいお盆やお皿として、木のぬくもりを大切にしながら、日々の暮らしに馴染むやさしいデザインです。
料理をのせたり、お茶の時間に使ったり、インテリアとして楽しんでみてください。
特別なお手入れは必要ありません。
水洗いもできますので、made in 和歌山の漆器をもっと身近にSHIKI‑ORIORIとともに始めてみませんか。

9/15(月祝)まで展示販売しております。
みなさまのご来店お待ちしております。
